誰が「ナマケモノ」と言ったのか? もしかして進化の最先端。どうして絶滅しない?

「ナマケモノ」・・・・・

この動物は、名前で損してるイメージがありますね。

動きがすごいゆっくりなあの動物です。
皆さんも聞いたり、見たりしたことがあると思います。

草食動物は、肉食動物に命を狙われるという宿命を背負っているので、本来だったら天敵である肉食動物から素早く逃げなきゃ生きていけないはずだと思います。

でもこのナマケモノは、ちょっと動くだけでも大変そうなぐらいゆっくりな動きで、こんなスローテンポで、どうやって厳しい自然界の中で生きているのかすごく不思議ですね。

しかしながらよく考えてみると、長い年月をかけて進化する中でその方法を選んだということは、もちろん何かしらの意味があるという事だと思いますので、今日はその辺りをちょっと探ってみたいと思います。

目次

なまけものの特徴

有毛目ナマケモノ亜目に属する哺乳類の総称。 学名:Folivora。

ナマケモノ
学名Folivora
分布域南アフリカ、中央アフリカの熱帯林
生息環境樹にぶら下がって過ごす
体長41㎝~74㎝
体重4㎏~8㎏
エサ
天敵ジャガー、ピューマ、オウギワシ
歩くスピード時速16メートル
寿命12年(野生)

ナマケモノは、ほぼ一日中木からぶら下がって生きています。ぶら下がり方も独特で、フックのような長い爪と独自に進化した前腕部の筋肉がそのぶら下がりに適しており、日中はほぼそのままぶら下がって寝ています。そして、またその動きが本当に特徴的です。皆さんもご存知のように本当に遅いです。1日のうち15~18時間は眠っているそうですが、夕方以降は、時々起きて餌を食べたり、木の上をゆっくりと移動することがあります。基本的に食事や睡眠から交尾、出産までも樹の上で行います。このようにナマケモノは生涯の殆どを樹にぶら下がって過ごすのですが、1週間に1回程度、排泄のため地上に降りてきます。

なぜ動きがゆっくりなのか

ナマケモノがゆっくりしか動けないのは、それは進化の過程の中でナマケモノが選択した生存戦略です。ナマケモノは素早く動くということは逆に、徹底的にエネルギーを消費しない生き方を選択したことになります。別の言い方をすれば木にぶら下がって寝ているのに適した動物ということです。まず、一日の食事の量が葉っぱ数枚しかありません。しかも葉っぱには栄養がほとんどありません。超省エネな生活をしてるわけです。しかもその葉っぱを消化するのには30日ぐらいかかると言われていますから、どれだけエネルギーを使わないように生きているかがよくわかります。

ナマケモノは哺乳類では珍しい変温動物で、外気に合わせて体温が5度も上下することがあります。これによって冬眠状態のような低エネルギー状態を作り出し、基礎代謝量を他の哺乳類より格段に低く抑えています。ナマケモノは、普通の恒温動物が必死で行う体温の維持すら、それほどしっかり行わなくても生きていけるようです。ナマケモノは体温が、25℃〜35℃までの範囲であれば、生きることができます。そのため、他の哺乳動物が体温調整のために行う発汗や震えによって消費するエネルギーを節約することができます。

一方、ぶら下がることに特化した筋肉は移動することには向いていないため、移動スピードは非常にゆっくりです。

ナマケモノの天敵

ジャガー

ジャガーは、多種多様の生き物を捕食すると言われています。その中には、シカやバク、カピバラ、ナマケモノ、ペッカリー、アルマジロ、アリクイ、有袋類、霊長類などの哺乳類、爬虫類、鳥類、両生類、魚類などが含まれます。ジャガーは木登りも得意で、ネコ科ですが水も恐れる事はありません。 熱帯林の中でジャガーはまさに向かうところ敵なしというような存在です。 しかも、動体視力に優れ、動きも素早いので動物がジャガーから逃げられるところはほぼない、と言われているぐらい捕食に長けています。

オオギワシ

オウギワシは、体長100㎝、8kgほどで、哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類などを捕食する動物食の猛禽類です。哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類などを捕食する動物食の猛禽類です。サルやナマケモノ、アルマジロ、ヌートリア、ハナグマなどの哺乳類や、コンゴウインコなどの鳥類、イグアナやボアなどの爬虫類、両生類などを捕食します。鋭いくちばしを持っていて、ナマケモノにとっては天敵です。

週に一度排便のために地上に降りる理由

ナマケモノが命を落とす約半分が地上に降りた時

ナマケモノは、週に一度ほど排便のため地上に降りて用を足します。普段は木と同化しているように見せかけているので、命を落とさなくて済みますが、ナマケモノの50%以上が排便時にオオギワシなどの天敵に狙われ命を落とすのだそうです。ナマケモノが動いているときは、動体視力の鋭い捕食者にもしも見つかった場合は、その動きの遅さから逃げることはできません。
でもよく考えたらなぜわざわざ危険を冒してまでもう地面に降りて排便する必要があるのでしょうか?

自分の毛に藻を生やすため?

ナマケモノの毛には緑色をした藻が生えています。これは、ナマケモノが栄養補給のためにそのものを食べるのと、 カモフラージュの意味もあると言われています。この背中に藻が生えるためには地上にいる昆虫たちの力を借りる必要があります。そういったことから危険を冒してでも排便をするために地上に降りているのだと推測されています。

このようにナマケモノは、日中は木に同化するようにしてほぼ寝ています。夕方になると少し動くようになりますが、ほぼカロリーを消費しないような生き方をしています。ある意味超省エネな生き方であり、単に類を見ないような独自の進化を遂げた動物だと言えます。

日本では、野生のナマケモノに出会うことはありませんが、動物園にはいます。餌が豊富なので野生のナマケモノよりはよく動くようなのですが、優しい瞳はどことなく憎めない動物のように思えます。気に入ったら動物園に会いに行ってくださいね!

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