ユダヤ人がなぜ成功するのか?

みなさんも『ユダヤ人は世界のトップ企業を経営しているし、お金持ちが多い』などと言う話を聞いたことはないでしょうか?

世界のユダヤ人人口は現在約1,517万人と言われていますが、これは日本の人口の1億2300万人と比べますと、12%程しかユダヤ人は存在しないことになります。

それなのに世界のお金持ちの多くがユダヤ人であるとされているのです。

単純に、不思議ですよね?

「もしかしたら、生まれながらにして頭のいい民族なのかな?」って思ってしまいます。

今日は、私達日本の人口の約12%程しかいないこのユダヤ人がなぜ世界の舞台で、成功者が多いのかを探っていきたいと思います。

目次

 有名なユダヤ人の経営者

ユダヤ人で、有名な方をちょっと挙げてみます。

  • Google創業者のラリー・ペイジ氏
  • Facebook創業者のマーク・ザッカーバーグ氏
  • マイクロソフトのスティーブ・バルマー氏
  • スターバックスのハワード・シュルツ氏
  • ゴールドマン・サックスのマーカス・ゴールドマン氏
  • デル創業者のマイケル・デル氏
  • インテル創業者のアンディ・グローブ氏
  • ブルームバーグ創業者のブルームバーグ氏 
  • ラルフ・ローレン氏
  • アルベルト・アインシュタイン氏
  • スティーブン・スピルバーグ氏
  • ボブ・ディラン
  • ポール・サイモン
  • ハリソン・フォード氏

等々

人口が少ないユダヤ人でありながら、様々な分野で成功を収めています。

また、ノーベル賞受賞者にもユダヤ人が多く、ウィキペディアによれば、ノーベル賞歴代受賞者の少なくとも20%はユダヤ人であるということです。

一体全体どうなってるのでしょうか?

歴史的背景

まず、ユダヤ人って言っても普段接点がないので、どんな人たちなのか理解する上でも、ユダヤ人の歴史的背景から見ていきましょう。

ひとつ注意点なんですが、途中で宗教について触れる部分がありますが、仮に解釈等が違っている場合がありましても、他意は全くございませんので、その時はご了承ください。

しかし、調べてみますと、迫害の中で生き延びて来たことが分かります。

第二次世界大戦のときヒトラー率いるナチドイツ軍に、「ユダヤ人」という理由で約600万人の人々が殺害されてしまいました。その内約150万人が15歳以下の子どもでした。
今でもその当時の出来事を語り継いでいる施設、アウシュヴィッツ収容所が残っており、多くの命を奪ったこの出来事は、お聞きになった方も多いでしょう。

アウシュヴィッツ収容所

さて、ユダヤ人のルーツと言いますと、アジアとアフリカとヨーロッパがまじわる中東地域になります。

ローマ人によって迫害

時代はさかのぼりますが、ユダヤ人は、約2000年前、現在はイスラエルと呼ばれている土地に住んていましたが、ローマ人によって迫害され 、追い出されてしまったので、その後は世界中に広がり、少数派として生活しながら独自の信念と文化の維持に努めてきました。

彼らの多くはヨーロッパへ移住しましたが、キリスト教が主である ヨーロッパ社会では、キリスト教の神聖を受け入れる事ができないユダヤ人には、なかなか溶け込めない部分もありました。 

中世には、キリストはユダヤ人によって十字架にかけられたという俗説が流布し、イエスの死はユダヤ人のせいであるとされたため、その後迫害に繋がる原因となっていきます。

ユダヤ人

まだ 宗教上の理由からキリスト教では禁止されていた貸金業を、ユダヤ人がその役割を果たすようになっていたため、極めて印象が悪く、妬みの対象にもなっていきました。さらに、14世紀には、推計5,000万人もの命が奪われた疫病である「黒死病」の 原因をユダヤ人 が引き起こしたと非難されたほか、スペインでは、強制的にキリスト教に改宗させられて 国に残るか、出国するか、さもなければ処刑されるような出来事もおこりました。1800年代 終わりのロシアやポーランドでは、政府が「ポグロム」と呼ばれるユダヤの近辺に対する暴行を組織化し、それを阻止することもしませんでした。これにより、ユダヤ人が殺害されたり彼らの家や店舗が略奪されました。

このようにユダヤ人は自分たちの国を持つことが出来ず、散らばった各国で繰り返し迫害を受け、厳しい生活を強いられたようです。

一方で、18世紀頃となりますと、宗教的迫害が薄れていったことで、ユダヤ人は自由な信仰、活動が可能になり、さまざまな商工業分野でユダヤ人が活躍するようになります。

街並み

しかし、また暗い闇が迫って来ます。

 新たな反ユダヤ主義の思想に巻き込まれていくことになるのです。

舞台はドイツです。 第一次世界大戦(1914-18年)に負けたドイツは、ヴェルサイユ条約の決まりに従って、巨額の賠償金を支払う必要があり、ドイツ経済も社会も混乱していました。 

1929年の世界恐慌によってドイツの経済は大打撃を受け、失業者が町中に溢れていきま す。この時、ドイツ国民の不安や不満は頂点に達していました。 

そんな中、社会不安を背景にして、アドルフ・ヒトラーがナチ党(国民社会主義ドイツ労働者党)を率いて政治の 表舞台に出てきます。ヒトラーは、「ユダヤ人こそ我々の敵だ、不幸の原因だ」と叫び、ユダヤ人に対する憎しみをあおりました。

国民社会主義ドイツ労働者党

国内では失業者で溢れる事態となり、そんな社会情勢を巧みに利用して、ヒトラー 率いるナチ党はついに第一党となりました。そしてヒトラーは首相に就任します。その後、反対勢力を排除し、ヒトラーは「総統」として独裁的な権力を手に入れることになっていきます。

そして憎悪の対象としていたユダヤ人を迫害していきます。ドイツ全土でユダヤ人の公職からの追放やユダヤ人の経営する店舗に対しての不買運動が起こるようになります。その後状況は悪化し、虐殺なども起こるようになりユダヤ人は、逃げ場を探してさまようことになります。

第二次世界大戦

そんな中、1939年9月、第二次世界大戦が始まりました。ナチスの迫害の手は、ヨーロッパ全土に暮らすユダヤ人へ及んでいき、各地でユダヤ人は、隔離するための大 小の居住地区 「ゲットー」という壁や鉄条網で仕切られた狭い区域に住まわされ、その中は病気が蔓延し、飢えに苦しみながら、多くの人々が死に追いやられていきました。

アウシュビッツ収容所

そして、ヒトラー率いるナチス占領下のポーランドにてアウシュビッツ収容所が作られることになります。ここには占領したヨーロッパ各地からユダヤ人が連れてこられ、体力のあるものは死ぬまで働かされ、子供や老人はそのままガス室で殺害されました。命を落としたユダヤ人は600万人と言われています。

アウシュビッツ収容所

やがて第二次世界大戦は終結を迎えることになりましたが、ユダヤ人達はヨーロッパには自分たちの居場所がないと感じ、アメリカやカナダオーストラリアへ去ってゆくユダヤ人も多かったようです。

このように、数々の差別と迫害を受けたユダヤ人でしたが、一方で「ユダヤ人はシオンの丘(現:聖都エルサレム)に帰還して国家を再建すべきである」というシオニズム運動がおこります。

聖都エルサレム

20世紀には、ロシアで再びユダヤ人に対する集団迫害行為が発生しますが、その後、パレスチナに移住したユダヤ人によってイスラエル建国の基礎が築かれます。度重なる迫害と長い離散を経て、ユダヤ人の本格的な帰還が始まるのでした。

長い間、迫害され悲惨な目に合ってきたユダヤ人ですが、第2次世界大戦後の翌1948年にはユダヤ人国家「イスラエル」の建国が宣言され、ついにイスラエルの建国が実現しました。

さて、このようにユダヤ人は長期に渡り迫害と離散を強いられたのですが、一体全体何が問題だったのでしょう。

迫害された理由

宗教の違い

もともとヨーロッパの方ではキリスト教が主で、イスラム教、そしてユダヤ教とありますが

、ですが、その関係と言いますと、一番最初はユダヤ教に始まり、その中からキリスト教が生まれて、キリスト教からイスラム教が生まれてきたとされています。

ただユダヤ教はキリスト教やイスラム教と違ってユダヤ民族のためだけの宗教であることが特徴なのだそうです。

ユダヤ教徒の祈り

その為、多くのキリスト教徒はユダヤ人がキリストが神の子であるというキリスト教の信条を受け入れること ができなかったため、キリスト教徒からユダヤ人は迫害されていくことになっていったと推測されています。

金融業の営み

もう一つの原因は ユダヤ人がお金を持っていた事と関係します。 

これは、ユダヤ人が生まれつき商売上手だったということではありません。

これにもユダヤ教、キリスト教の違いが関係してユダヤ人が金融業に従事してゆくことになります 。

実はユダヤ教でもキリスト教でも人にお金を貸すことは禁じられてはいません 。

それではなぜユダヤ人が金融業を営むことになったのでしょうか。

それは 利子が関係します。

ユダヤ教もキリスト教もお金を貸して利子は取ってはならないということになってるんですが、ユダヤ教には特別な条件があり、それはユダヤ人以外なら金利をとってもいいということでした。対してキリスト教はそのようなことが一切できませんので、おのずとユダヤ人が金融業を営むようになっていったわけです。当然ながら、当時は金融業のイメージは良くありません。

ユダヤ人ビジネスマン

しかしながら中世でも文化が発展していくとキリスト教徒側もユダヤ人の金融ネットワークを使うようになり、次第にユダヤ人の金融業は頼られる存在になっていきます。ただ返済条件等も厳しく、キリスト教徒側から見れば禁止されている金利を取って豊かな生活をしているユダヤ人が許せなくなっていったのだと言われています。

現代のユダヤ人

イスラエルはユダヤの国として建国されましたが、長い間離れていたためそこには先住民がおり、近年の統計では、ユダヤ教徒が約74%、イスラム教徒が約18%、キリスト教徒が約2%、その他がサマリア人やバハイ教徒となっているようです。

イスラエル

ユダヤ人の総人口は1,517万人と言われています。住んでいる国を挙げますと、イスラエルに687.1万人、米国に600.0万人と合わせて85%はこの2国に集中しています。後はフランスに46万人、カナダに38.8万人、イギリスに29万人となっています。世界各国に離散しています。

ユダヤ人成功の秘訣

このように歴史上、常に迫害されてきたユダヤ人たちは、お金や物、不動産などいつ何時でも奪われる可能性があったことから、人生を切り開く知恵だけはきちんと代々受け継いできた。この世代を超えて継承されてきたのが大きな財産だったのだと思います。

自国を持たないまま宗教的・民族的なつながりを長期に渡り維持してきたユダヤ人は、結束力がとても強く、迫害された歴史もある中で、ヨーロッパで培われた金融業の営みが、後に世界の金融に大きな影響力を持ってくることになる要因であった事は 容易に想像が付きます。

 またユダヤ人は議論することが習慣づいていて、いろいろなことにいつも疑問を持つことが癖になっているようです。小さなことに対しても知らず知らずのうちに改善したり方向を変えたりしているのではないでしょうか?

価値を見出していく力を継承

そういった積み重ねが新しい発想につながっているのだと思います

冒頭で紹介したユダヤ人の成功者達もよく見ると、規模の大きな製造業とかではなく、 IT系や情報系、金融、エンタメ系が多いように見受けられます。こういった新しい価値を見出していく力を迫害された歴史の中で、ユダヤ人は培ってそれを継承しているのだと思います。知的財産を大事にしているように思います。

まとめ

「ユダヤ人の血が流れている者は優秀な者が多い」ということはなく、

迫害されてきた歴史の中で、

「生き抜く為の適応術や危機管理能力、リスクに対する考え方等を世代、世代で伝達、継承しているからに他ならない」という結論に至りました。

結局、新しい環境の中で生き抜いていく力が、ビジネスにも反映されているということですね。

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