なぜ飲食店ではお茶は無料なのか?

ぜ飲食店でお茶は無料なのか?

皆さんもお茶は大好きだと思います。ご飯をいただいているときもやはりお茶が欲しいと思いますし、ちょっとゆっくりしてるときにも何気なくあるお茶はほんとに心が安らぎます。またお菓子を食べてる時も緑茶が欲しいですよね。

こういった日本人には欠かせないおいしいお茶なんですが、

飲食店に座ると、何も言わずにまずお茶を持ってきてくれる飲食店が多いですよね。

無料で提供されるというイメージが強いお茶ですが、一方で、コーヒーや紅茶、ウーロン茶などを頼むとちゃんと料金が発生します。同じ飲み物なのにちょっと不思議に思えますよね。

今日はそのお茶の特徴や歴史なども交えてお話していきたいと思います。

目次

お茶の歴史

お茶の歴史は非常に古く、中国がその起源と考えられています。伝説によれば、紀元前2737年、中国の皇帝である神農がお茶を発見したとされています。神農は偶然、風で落ちた茶の葉が煮えたお湯に入り、その香り高い飲み物を試み、お茶を発見しました。

お茶の栽培と飲用はその後、中国で急速に広まり、仏教の伝播とともにインドや日本などの周辺地域にも広がっていきました。茶はすぐに貴重な商品となり、中国の文化や経済に大きな影響を与えました。

日本では、お茶は奈良時代(8世紀)に遣唐使や仏教僧侶によってもたらされ、その後は長い間貴族や武士階級、寺院などで社交の一部として浸透し、日本茶の歴史は茶道や茶の儀式と深く結びついています。また、日本では独自の茶の栽培方法や製造方法が発展し、茶の種類や味わいも多様化しました。

ただ一般庶民がお茶を飲む機会が増えたのは江戸時代になってからでして、本格的に日本の生活に欠かせないものとなったのは、大正末期から昭和初期とされていて、今のような庶民に根付いたお茶の文化は意外と新しいのです。

現在では、お茶は世界中に広まり、様々な地域でさまざまな形で楽しまれるようになりました。茶は文化や習慣の一部として根付き、健康やリラックス効果などの利点が広く認識されています。

緑茶と紅茶と烏龍茶

まず、皆さんに緑茶について質問なんですが、
「緑茶も紅茶も烏龍茶も同じ木から作られている」って知ってましたか?

お茶になる木は、茶の木と言われツバキ科に分類される常緑樹で、学名は「カメリア・シネンシス(Camellia sinensis)」と呼ばれているそうです。この茶の木は、世界各国で栽培されていて品種は大きく分けて2種類あり、寒さに強い小葉種の中国種と寒さに弱く発酵しやすい大葉種のアッサム種に分けられます。日本の緑茶は耐寒性のある中国種に属します。

では、同じ木から作る日本茶、紅茶、中国茶には、どのような違いがあるのでしょう。

緑茶

緑茶は、茶の葉を収穫した後、直接蒸してから加熱し、揉んで乾燥させることで製造されます。このように茶葉を発酵させない工程のため、茶葉が緑色を保ちます。

紅茶

紅茶は、茶の葉を収穫してから、酸素と反応させて酸化発酵させる工程を経て製造されます。この酸化プロセスにより、茶葉が赤褐色に変化します。紅茶は主にアッサムやダージリンなどの茶の種類から作られます。

烏龍茶

烏龍茶は、茶葉の酵素を一部だけ酸化させるプロセスを経て製造されます。茶葉を一度揉むことで酸素が茶葉に行き渡り、一定の段階で揉むのを止めて発酵を防ぎます。その後、茶葉を乾燥させて製品化します。

このように製造過程には、違いがありますが同じ原料であり差はありますが手間は同じようにかかっているわけです。ですからお茶だけが特に安くできているというわけではありません。

緑茶の健康効果

  • メタボ関連疾患予防
  • 肝機能保護
  • 老化抑制
  • がん抑制
  • 脳機能調整
  • アレルギー緩和
  • 自己免疫疾患予防
  • 抗菌・抗ウイルス
  • 骨粗しょう症予防
  • 歯周病予防
  • 腸内細菌叢調整

こんな効果があるとされています。長いお茶の歴史の中で、「茶は、養生の仙薬なり。延命の妙薬なり。」と記載があるように当初は薬として使われてきただけにやはり健康効果も高いようです。

緑茶の種類

煎茶

一般的に家庭でよく飲まれている緑茶が煎茶になります。煎茶は独特の豊かな香りを持ちますが、茶葉が蒸されることで香り成分が引き出され、独特の芳香が生まれます。一般的な煎茶には、普通煎茶、浅蒸し煎茶、深蒸し煎茶に分けられますが、浅蒸し煎茶はさらりとした飲み味で、浅蒸し煎茶は生葉の蒸し時間を2倍~3倍長くすることで渋味が抑えられて、濃厚な味わいになります。

玉露(ぎょくろ)

玉露は非常に高品質で贅沢な緑茶であり、新芽から作られます。茶摘みの際に新芽のみを摘み取り、蒸し焙煎してから茶葉は手作業で丸められ、特有の玉のような形状に整えられます。この工程で茶葉の旨味がより引き出されます。非常に繊細で豊かな香りと甘みの最上ランクの日本茶です。

碾茶(てんちゃ)

玉露と同じで、覆下園(おおいしたえん)で栽培した生葉を、蒸してから揉まずに乾燥し、茎や葉脈を除いたものです。玉露と同じく上質な日本茶で、丹精込めて栽培され、加工されます。これを茶臼で挽いて粉にしたものが抹茶になります。

抹茶

抹茶は、玉露と同じで、覆下園(おおいしたえん)で栽培した生葉を、蒸してから揉まずに乾燥し、茎や葉脈を除いたものを茶臼で挽いて細かい粉末にしたものです。茶筅で点(た)てて飲む抹茶は、渋味の中に上品な旨みが広がる味わいが特徴です。抹茶の特徴として日本茶の栄養素を丸ごと摂取できます。また最近では、抹茶は茶道やお茶の儀式で重要な役割を果たすだけでなく、抹茶ラテや抹茶アイクリームなど、さまざまな飲料やお菓子に使われています。その濃厚な味わいと豊かな香りは、日本の文化の一部として多くの人々に愛されています。

番茶

煎茶や玉露などの高級茶とは異なり、その風味や品質は比較的質素です。一般に新芽が伸びて硬くなった生茶や古い生葉、茎などを原料として製造する日本茶です。煎茶の仕上げの工程で選別された大きな茶葉を使うこともあり、京番茶など地方特有の製法で作られる「地方番茶」もあります。日常的な茶として広く親しまれています。

焙じ茶(ほうじちゃ)

ほうじ茶は、茶葉を焙煎して香ばしさを引き出したものです。茶葉を焙煎することで、独特の香りと甘みが生まれ、一般的な緑茶とは異なる味わいが楽しめます。下級の煎茶や番茶などを、褐色になるまで焙じて作る日本茶で、焙煎することで生まれる香ばしい香りが魅力。焙煎によって茶葉に含まれるタンニンが分解され、苦みや渋みが抑えられるため、苦味や渋みが少ないのが特徴です。また、ほうじ茶はノンカフェインであり、カフェインに敏感な人や就寝前に飲みたい人にも適しています。

玄米茶

玄米茶は、茶葉に焙煎した玄米を混ぜて作られる茶です。お茶と炒り米を1対1の比率でブレンドしたもので、炒ったお米の香りが特徴です。番茶と組み合わせるのが主流ですが、煎茶とブレンドしたものや、抹茶入りのものなどもあり、ブレンド次第で味わいが変わります。玄米には食物繊維やミネラルが豊富に含まれており、健康に良いとされることから、玄米茶は健康意識の高い人々にも人気があります。

なぜ飲食店ではお茶は無料なのか?

なぜ飲食店ではお茶は無料なのか?

いろいろと考えてみたんですが、どうも理由は一つだけでなくいろいろ重なって無料になっているのだと思います。これは外国では見られない日本独特の事情によるもののようです。

ご飯と一体になっている

我々日本人にとってはお茶はご飯のお供でもあるわけですね。普段食事をするときもお茶と一緒にご飯を食べているイメージが強いですよね。一方でコーヒーや紅茶は食後やデザートを食べている時に一緒に飲みたい飲み物になります。お金を追加してでもコーヒーは飲みたくなるわけです。では代わりに水で成り立つかと言われると、なかなか和食に水というのも考えにくく、やはり楽しい和食の食事には、お茶がぴったりなんですよね。日本人にとって食事にお茶があることは当たり前のことでお茶は必要不可欠といった感じでしょうか。

おもてなしのサービス精神

外食シーンにおいてお茶を持ってくるのは日本人の“おもてなし”のサービス精神から生まれた日本特有のものとも考えられます。そもそも、海外では、水一杯でも無料で出てくるところは少なく、外国人の方が日本に来て、お茶が無料であることはびっくりされることの一つであります。

店側のサービス戦略

お茶を無料で提供することは、顧客へのサービスとしての価値があります。多くの人々が食事とともにお茶を好むため、無料で提供されるお茶は、顧客の満足度を高め、リピーターを増やすのに役立ちます。

ずっと続いている習慣

多くの飲食店では、お茶が無料で提供されることが一般的な習慣になっています。他の店は無料でお茶を提供しているのに、自分の店だけはお茶を有料にするわけにはいかない裏事情があるのだと思います。そのため、他の飲食店との競争力を維持するために、お茶を無料で提供せざるを得ないという事情があるようです。

コストによるもの

お茶は種類にもよりますが一般的にコストが比較的低いため、飲食店にとっては無料で提供することが容易です。他の飲み物や食べ物と比較して、原材料や調理の手間が少ないため、コストを抑えて提供することができます。

日本人はおもてなしの民族

今回なぜ飲食店ではお茶は無料なのか?という事を考察してみたのですが、個人的には「おもてなし」のサービス精神によるものが一番大きのではないかなと感じました。

私たち日本人は当たり前のように「おもてなし」の精神の中で生活していますので、もしかしたら「おもてなし」ということに対し、私たち日本人が一番鈍感なのかもしれません。

現在、普段私たちが行っている日本人のおもてなしは、世界中で称賛されるほどに洗練されています。日本のおもてなしの文化は「おもてなしの心(もてなしのこころ)」として知られているのです。

日本のおもてなしは、丁寧で親切な対応が特徴です。笑顔や礼儀正しい言葉遣い、そして心からの挨拶などが含まれます。加えてサービスの質に重点を置き、料理やおもてなしの品質は高く、細部にわたって丁寧に作られています。

単にただ無料でお茶を提供しているという事ではなく、長年にわたって培ってきたおもてなしの精神がそうさせているのだなと思いました。

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